e法廷(e-Court) ~書面による準備手続による試行~ #5

 今日は,3回目のe-Courtによる期日である。

 1週間以上前に *1 当方(原告)の再反論の準備書面をFAXで直送済みである。かなり効率的に進行してきたので,そろそろ争点整理手続も終わりかなという段階である。期日も比較的短い間隔で入ったので,トントンと審理が進んでいる印象である。

 いつものごとく会議室にノートパソコンを持ち込んで,appear.inのURLを入力すると,裁判所及び相手方の画面が表示された。今回は,相手方の先生は,たしか事務所外からの参加である。相手方の先生は出張先で顧問先の会議室を借りているようである。ネットワーク接続は,スマホテザリング *2 を利用しているようであるが,画像がちらついたり,音声が途切れたり,といったことはないようである。しかし,テザリングだとあとで電話代が心配だろうな。

 裁判官から,相手方の部屋の中に部外者がいないか,念のために確認したいということで,ノートパソコンを持ってぐるっと一周回って欲しいとのこと。そうすれば,部屋全体が映るというわけだ。弁護士がやっているから信用できるとは思うが,念には念を入れて,ということらしい。

 今日は,争点整理も大詰めだが,ここで相手方の先生から,主張をパワポで整理したので,それを使って説明させてくれ,との要望が出た。刑事の裁判員裁判の冒頭陳述ではパワポを使う弁護士も増えてきたが,民事でもやる時代になってきたか。裁判官も少し迷っていたが,口頭での説明を補充する趣旨ということであれば問題ないであろうということで許可された。ただし,次回からは事前に許可を取って欲しいとのこと。確かに当事者の対等な攻撃防御という観点からは,そういう配慮も必要か。

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 実際に被告代理人から上記のような感じで説明があった。これは分かりやすい(汗)今回の裁判官はよく書面を読んでくれているので,このパワポでの説明があるからどう変わるというわけでもないと思うが,あまり書面を読んでないのでは?と思われる裁判官なんかだと,これはかなり効くかも。

 色々あったが,今日で書面による準備手続は終了である。

 最後に,今までの争点整理の結果を踏まえて,裁判官から和解の話があったが,交互対席をどのように実現するのかが難しい。いったん一方が接続を切れば良いのだが,そうすると今度はまた入ってもらうタイミングをどう伝えるかが問題となる。今回は,再び入るタイミングで裁判所から電話をしてもらうという,ある意味原始的な方法で実現した。結果として,人証を経ないと和解は難しいということで,次回は法廷で口頭弁論期日を開くということになった。

 書面による準備手続では,準備書面の陳述や証拠申請ができないので,次回の口頭弁論でまとめて行うこととなる。ただし,証拠は仮の形で提示はしているので,次回の口頭弁論期日では,原本確認が必要な証拠の確認を行い,後は形式的に提出の扱いとするだけである。ただ,もし原本確認が重要な意味を持つ証拠があって,その確認が済まないと重要な争点の処理が決まらないといった場合には,いったん書面による準備手続を打ちきって,口頭弁論期日を開いて出頭して原本確認をするといった手続も考えられるだろう。

 今後は,次回の口頭弁論を経て,順調に進めば,次々回に法廷で証人尋問を行うことになるであろう。そして,その後,和解がまとまらなければ判決という流れである。体感としては,通常の手続よりも迅速かつ効率的に進行したのではないか,という気がする。e-Courtなかなか良いんじゃないか?

(一応,完)

*1:皆さん,提出期限は守りましょう。

*2:スマートフォンを経由してインターネットに接続する方法。スマートフォンWi-Fiルータのような形で利用します。