e事件管理(e-Case Management) ~一部導入~ #3

  事件管理ポータルの事件一覧の中から,事件を選んでクリックすると,その事件毎の画面が表示される。

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 未だe-Filingは導入されていないので,当該事件の主張や証拠などに関する情報は表示されておらず,期日に関する情報や提出予定に関する情報のみが表示されている。*1

 「期日一覧」には,既に開かれた期日,これから開かれる期日の一覧が表示されている。これから開かれる期日については,e-Courtが開催可能な時間(期日の日時が来て,裁判官がパソコンの期日開始のボタンをクリックしたとき)になると,期日の項目の横にモニタのアイコンが表示される。当事者や代理人が,それをクリックすると,e-Courtの画面が表示される。

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 e-Courtの画面は,ブラウザの別のタブに表示されるようになっており,タブを分離させると,フロートさせて独立したウィンドウとして扱うことが可能である。したがって,相手方の顔が表示さているウィンドウは小さくするとか,画面の表示スペースに合わせて自由にウィンドウを配置することができる。裁判官が争点整理案を示したときは,それを画面一杯に表示して,顔のウィンドウは最小化するといったことも可能である。複数の画面を使っていたりすると,書面は大きなモニタに大写しして,顔は別モニタに集中して表示させるなんてことも可能である。*2

 なお,音声については,従前と同様であるが,パソコン備付けのマイクだと,音声以外の雑音を拾ってしまい,聴き取りづらいので,できる限り,マイク付きのイヤホン *3 を利用することが推奨されている。

 「提出予定」には,当該事件で提出すべきものとして合意した書面や証拠の標目や提出期限が表示されている。期限を徒過していると,これが赤色に変わるようになっている。また,期限を徒過すると,徒過したことを警告する電子メールが,ログインIDと紐付けて登録したメールアドレスに届く仕組みとなっている。

 なお,e-Courtが開かれる予定の期日は,保全の審尋である。民事保全法は,7条で「特別の定めがある場合を除き、民事保全の手続に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。」と規定しており,口頭弁論や審尋の開催についてe-Courtを除外する特段の規定を設けていないので,民事訴訟法でe-Courtが導入されたことによって,保全の審尋や口頭弁論においてもe-Courtを利用することが可能となった。保全の審尋は迅速な開催が要求され,その場で書面の訂正を求められることも多いので,迅速に開催でき,事務所で書面の訂正を行うことができる保全の手続に,e-Courtは非常にフィットしている。

(つづく)

*1:メール直送で,訴状を除くほとんどの主張や証拠がデジタル情報で存在しているとは思うのですが,この時点では,デジタル情報を原本とするという法律が存在しないので,裁判所にとってデジタル情報は原本になる前の仮の姿ということになります。仮の姿であるデジタル情報を裁判所のサイトで開示することは困難だろうなあ,と思います。ただ,仮であろうが何であろうが,サイト上で確認できたら,裁判所,弁護士,当事者それぞれの間の意思疎通が非常にやりやすくなって,便利だろうなあと思います。

*2:大きな画面のモニタの価格もすごく下がってきているので,これからは複数モニタが便利ですね。

*3:iPhoneなんかを買うと,ただで付いてくるやつですね。