e提出(e-Filing) ~本格導入~ #5

 訴訟が係属し,被告が代理人を選任した前提で,双方代理人の活動がどうなるかについて触れたい。

 訴訟が係属し,各種事件記録が提出されると,事件管理ポータルの「事件一覧」に当該事件の名称が表示される。

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 事件記録を見たり,提出したい事件をクリックすると,当該事件に関する画面に遷移する。

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 事件画面では,期日一覧,提出予定,提出された主張書面等,双方の証拠などが表示されている。そして,各期日横には,期日の日時がくると,スクリーンのアイコンが表示されるので,それをクリックすると,e-Courtの画面が表示される。主張書面や証拠については,それらをクリックすると,準備書面や証拠などが別ウィンドウで表示される。1つのパソコンに複数のモニタをつなげていれば,一方に主張書面を,一方に証拠を表示させるといったことも可能である。

 「書類提出」をクリックすると,提出したいファイルを選択するためのダイアログ画面がポップアップするので,提出しようと考えている書面のファイルを選択して「提出」ボタンをクリックする。又は,ドラッグ&ドロップの領域にドロップすることで提出することも可能である。書面の提出の効果は,この操作で生ずる。

 書面が提出されると,書面が提出されたことが,担当裁判官,担当書記官には,システム上の通知で,相手方当事者や代理人に対しては,電子メールやSMS,電話,FAXなど,登録時に指定された複数の方法で通知される。通知を受け取った相手方は,システムにログインを行い,当該書面を閲覧又はダウンロードする。その時点で,送達がなされたことになり,文書を発した者は,送達が完了したことをシステム上,確認することができる。

 もし,文書提出の通知がなされたのに,文書の閲覧やダウンロードをしないときは,文書提出の通知を行ったと確定できる日から1週間で送達が擬制される。なお,システムに文書をアップロードすることで,裁判所及び相手方に文書を送ったことになるので,直送という概念はなくなった。

 また,法改正により,デジタル文書を原本として取り扱うこととなっているので,裁判所は,提出された文書を印刷して,別途ファイリングする取扱いは行わない。ただ,紙で読んだ方が頭に入るという裁判官は,自らシステムから印刷を行うことになる。これは,当事者・代理人も同様で,印刷せずにモニタで読んでもいいし,印刷して紙で読んでも構わない。ただし,紙は正式な原本としての性格は有しておらず,あくまで仮のものということになる。

 システムには事件毎に事件記録を全文検索できる機能があり,裁判官や当事者・代理人は,全文検索することで容易に必要な文書に到達することができる。また,提出される文書は,それがPDF形式であっても,文字情報を埋め込んだ形で作成することが義務付けられているので,検索の対象となり得るし,コピペして引用したりすることも容易である。*1

(つづく)

*1:デジタル化の恩恵は,本質的にはこの辺にありますね。